2024年10月01日

金属組織観察・測定の前処理

 

目次

1.金属組織を観察・測定する前処理とは

2.各前処理の方法

3.金属組織の顕微鏡観察

4.まとめ

 

 

 

1.金属組織を観察・測定する前処理とは

金属組織を顕微鏡やマイクロスコープで観察するには前処理が必要です。
大きく分けて下記4種類の前処理が一般的です。

 

①サンプル切断

②樹脂埋込み(包埋)

③磨き

④エッチング処理

 

 

 

2.各前処理の方法

①サンプル切断

大きなサンプル試料を切断機で小さな小片に切断します。

 

 

②樹脂埋込み

切断したサンプル試料を樹脂で固めます。

樹脂に埋め込む理由・目的は以下です。

 

・サンプル試料のエッジ端部形状の保持
・サンプル試料が変形しないよう形状保持
・観察しやすい平らな形状にする

 

 

硬化させる樹脂は様々な種類があり、サンプル試料の材質や特性により選択します。

 

<代表的な樹脂>

 

・アクリル樹脂
・ベークライト樹脂
・エポキシ樹脂
・メラミン樹脂

  樹脂埋め込みイメージ

 

 

それぞれの樹脂により性質や色は異なり、硬化方法も異なります。
熱可塑、熱硬化、自然硬化、UV光照射硬化、2液混合硬化など様々な種類があります。

 

円柱状ケースに試料を入れ、樹脂で固めます。
熱による硬化の場合は加熱包埋器を使い、UV光硬化の場合はUV光を照射します。

観察対象によっては省略します。

 

 

③研磨及び鏡面仕上げ

金属サンプル試料の表面を研磨します。
一般的に研磨機を使います。
研磨機には手動タイプと自動タイプがあり、前者は玄人向き、後者は初心者向きです。
手動タイプは手でのサンプル押さえの力具合で研磨の度合いにムラができやすく玄人向きです。
自動タイプはサンプル固定治具にサンプル試料を固定すれば、自動で研磨してくれて研磨のムラができにくく、初心者向きです。

 

耐水研磨紙を用いた粗研磨~精密研磨でサンプル試料を研磨します。
粗い→細かいの順に湿式法(水をたらしながら)で研磨します。
精密研磨では布やバフ研磨とダイヤモンドスラリやアルミナ粉末等を使用しながら、鏡面に仕上げます。
したがって、耐水研磨紙の番手変更を何度も行う必要があります。
研磨機には1層式と2層式があり、2層式の方が高額ですが便利です。

 

鏡面にまで仕上がれば、試料面を流水で洗浄します。
洗浄後、ドライヤーなどで乾燥させます。

 

 

④エッチング処理(表面腐食)

サンプル試料の材質や性質に合ったエッチング液(腐食液)に試料の研磨した面を漬け込みます。
エッチング液の濃度やサンプル試料の材質や性質に合った時間エッチング処理を行います。

 

例:黒鉛球状化の場合は3%硝酸アルコール溶液(ナイタール液)

 

エッチング後、エッチング液を水で洗い流し、エチルアルコールなどで洗浄してからドライヤーなどで乾燥させます。

 

黒鉛球状化率エッチング前  
黒鉛球状化率エッチング前   黒鉛球状化率エッチング後

 

 

 

3金属組織の顕微鏡観察

上記記述の前処理工程を経て、ようやく金属組織を観察できます。
正しく前処理されたサンプル試料の鏡面研磨した面を顕微鏡で観察します。
組織を拡大し、ピントを調整することで、金属組織を観察します。

 

弊社では、「金属顕微鏡」や「顕微鏡用USBカメラ」、「金属顕微鏡とカメラがセットになったもの」をご用意しております。

製品詳細は以下をご覧ください。

 

倒立型金属顕微鏡 (超高倍率顕微鏡) GR-29J-C3J  

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GR-29J-C3J

 

318,000円(税抜)

 

 

顕微鏡用USB3.0カメラ(500万画素)  

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87,000円(税抜)

 

 

カメラ付小型金属顕微鏡  

カメラ付小型金属顕微鏡

KKKI-STD6-130DN

 

299,000円(税抜)

 

 

 

ただし、非金属介在物観察や、黒鉛球状化率測定、結晶粒度解析(フェライト結晶粒・オーステナイト結晶粒)など高度な測定は、各々の測定法、計数法を用います。
金属組織の観察には適切な前処理工程が必要で、長時間またかなりの労力を使います。
したがって専用のソフトウェアで効率良く、短時間に行うことがオススメとなります。

 

黒鉛球状化率測定、結晶粒度解析について、詳しくは以下をご覧ください。

 

 黒鉛球状化率測定 黒鉛球状化率エッチング前 

 

 

 

 金属組織の結晶粒度解析  

 

 

 

 

4.まとめ

金属組織観察にはそのサンプル試料にあった適格な前処理を選択し、顕微鏡観察を行います。
こんなにも前処理で時間がかかるので各種測定に関してはソフトを使って自動測定し、省力化または時間短縮するのがコツです。

 

 

 

 

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