タップ穴(ネジ穴)の内壁観察|直視・側視の違いと死角への対処法
目次
「タップ穴の内側にあるキズやバリを確認したい」「ねじ山や谷の状態を詳しく見たい」
といった場合、ボアスコープや工業用内視鏡を使う方法があります。
ただし、穴に挿入できる機器であっても、確認したい部分が見えるとは限りません。
ねじ山によって死角ができるため、観察する方向や対象物の動かし方が重要です。
この記事では、タップ穴の内壁を観察する方法と、用途に合わせた機器の選び方をご紹介します。
1 直視タイプでタップ穴を観察する
直視タイプは、ボアスコープの軸に沿って前方を見る機器です。
穴の奥や穴底の確認に適しています。
一方、タップ穴を斜めに見るため、ねじ山の陰になる部分は確認しにくい場合があります。

貫通穴で両側からアクセスできる場合は、片側から観察した後、
対象物を裏返して反対側からも観察すると、見えにくい部分を補えます。
ただし、両側から観察しても、ねじ形状や観察条件によって死角が残る場合があります。
使用機種:直視ボアスコープ BAL-0418
観察対象:M8のネジ穴
2 側視タイプで穴の内壁を横から観察する
側視タイプは、ボアスコープの軸に対して横方向を見る機器です。
内壁に向けて観察できるため、ねじ山や谷の状態を確認する方法として候補になります。

側視タイプを挿入しただけでは、全周の一部しか見えません。

全周を確認するには、対象物または観察方向を回転させます。
深い穴では、深さ方向にも観察位置を変えながら確認します。
対象物を回転できる場合
ボアスコープを固定し、対象物を回して全周を順に観察します。
カメラ側を回さずに確認できる方法です。

使用機種:側視ボアスコープ BAL-9418
観察対象:M8のネジ穴
ロボットアームでボアスコープ側を回す場合
ロボットアームの先端にボアスコープとカメラを取り付け、対象物を固定したまま、スコープ側を回して内壁を観察する方法もあります。
観察位置や回転角度を設定することで、複数箇所を順番に確認する作業の自動化を検討できます。
ただし、回転に伴ってカメラや照明のケーブルも動きます。
同じ方向に回し続けると、ケーブルのねじれや巻き付きが発生するため、配線に余裕を持たせ、回転角度を制限するなどの対策が必要です。
また、ボアスコープの先端が穴の内壁に接触しないよう、固定治具や挿入位置、動作範囲を確認してください。
カメラ本体を回さずに観察方向を変えたい場合は、次に紹介する回転ミラーチューブを使用する方法もあります。

3 ミラーチューブだけを回してタップ穴内壁を見回す
対象物を回転できない場合には、
ボアスコープに専用の回転ミラーチューブを組み合わせる方法があります。
直視タイプのボアスコープに90°ミラーチューブを装着し、タップ穴の内壁を横から観察します。
カメラ側を固定したままミラーチューブだけを回せるため、カメラケーブルを一緒に回さずに全周を順に確認できます。

また、ミラーチューブを外すと直視で使用できます。
内壁と穴底など、確認したい場所に応じて観察方向を使い分けられます。
使用機種:360°回転ボアスコープ ME.27090.0035+90°ミラーチューブ MSS.30090.90
観察対象:M8のネジ穴
4 細径の側視内視鏡でタップ穴の内壁を観察する
タップ穴の内壁を確認したい場合には、先端外径φ1.8mmの側視内視鏡MISR-18Sも候補になります。
MISR-18Sは、先端の可動範囲270°と視野角120°を組み合わせて、全周(360°)を見回す機器です。

機器の先端が穴に入るだけでなく、タップ穴の内壁までの距離でピントが合うか、
目的の箇所を確認できるかも重要です。
使用機種:90°側視くるっと観察 超細径 工業用内視鏡 MISR-18S
観察対象:M8のネジ穴
5 広角レンズで穴の全周をまとめて確認する
穴の全周をまとめて確認したい場合には、ホールインスペクションレンズを使用する方法があります。
ホールインスペクションレンズPHL178は、視野角178°の広角レンズです。
タップ穴の入口側から内壁を広く捉え、全周の様子を一度に確認する用途に適しています。

ただし、タップ穴ではねじ山の陰になる部分が残る場合があります。
全周が画像に入っていても、検査したい面がすべて映るとは限りません。
ひっくり返す方法もありますが、ホールインスペクションレンズで観察可能な穴は
穴の径と同じ深さ(高さ)までの対象物となります。
機器選定の前に確認したいこと
ご相談の際は、次の情報があると、観察方法や機器を選びやすくなります。
●穴の形状: ねじサイズ・ピッチ・実際の内径・深さ
●穴の種類: 貫通穴か、穴底のある止まり穴か
●確認したい箇所: ねじ山・谷・穴底など
●確認したい状態: キズ・バリ・欠け・異物など
●作業条件: 対象物を回せるか、両側からアクセスできるか
なお、M8などのねじの呼び径と、実際に機器を挿入できる最小内径は異なります。
呼び径だけで判断せず、図面や実物で確認することが大切です。
まとめ
タップ穴(ねじ穴)の内壁を観察するには、確認したい箇所に合った機器選びが大切です。
穴の奥や穴底には直視タイプ、タップ穴の内壁を横から見るには側視タイプが候補になります。
対象物を回せない場合は回転ミラーチューブや側視内視鏡、全周の様子をまとめて確認したい場合はホールインスペクションレンズを検討できます。
ただし、全周が見えていても、ねじ山の陰に死角が残る場合があります。
穴の内径や深さ、ねじ形状に合わせて、確認したい部分が実際に見えるかを確かめることが重要です。
「この穴の内側を見たい」「今の機器では見えにくい」といった段階でも、お気軽に松電舎へご相談ください。
対象物や確認したい箇所に合わせて、観察方法と機器をご提案します。




