目次
■ ハイスピードカメラとは
ハイスピードカメラとは、通常のカメラのフレームレート(30~60fps)を
大きく上回る速度で撮影できるカメラです。
人の目では捉えられない高速現象をスローモーションで可視化できるため、
製造業の品質管理や研究開発、スポーツ解析など幅広い分野で活用されています。
本記事では、ハイスピードカメラの基礎知識や仕組み、選び方や活用事例について
分かりやすく解説します。
■ ハイスピードカメラの基礎知識
ハイスピードカメラを理解するうえで、最も重要な2つの概念が
フレームレート (fps) と シャッタースピード です。
この2つを正しく区別することで、ハイスピードカメラの選び方や
有効な使用方法を理解することができます。
● フレームレート (fps) とは
fps (frame per second) は、1秒間に何枚の静止画(フレーム)を
連続撮影できるかを表す数値です。
通常のカメラでは30fpsや60fps、つまり1秒間に30枚、60枚が限界ですが、
ハイスピードカメラでは1秒間に100枚や1,000枚の取り込みが可能です。
fpsが高いほど、時間軸をより細かく分割して現象を記録できます。
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fpsが低いと秒間のコマ数が少ない |
fpsが高いと秒間のコマ数が多い |
● シャッタースピード(露光時間)とは
シャッタースピードは、1枚のフレームを撮影する際にセンサーが光を取り込む時間です。
単位は秒(s)やマイクロ秒(µs)で表されます。
ハイスピードカメラは1/1,000秒(1ms)や1/20,000秒(50µs)などの
短いシャッタースピードで使われます。
なぜ短いシャッタースピードが必要なのか
高速で動く被写体を撮影するとき、露光時間が長いと1枚のフレーム内でも
被写体が動いてしまうため、画像がぼやけてしまいます。
フレーム毎にきちんと静止した画像を取得するために短いシャッタースピードが必要になります。
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シャッタースピードが遅い(長い)と映像がブレる |
シャッタースピードが速い(短い)と映像が停止する |
● fpsとシャッタースピードの関係
混同しやすい用語ですが、この2つは別物です。
| フレームレート(fps) | シャッタースピード(露光時間) | |
| 意味 | 1秒間に何枚撮影するか | 1枚の写真の露光時間 |
| 役割 | 撮影の「間隔」を決める | 1枚ごとの「明るさ・ブレ」を決める |
■ ハイスピードカメラの原理
ハイスピードカメラの仕組みは非常にシンプルです。
「ごく短い時間間隔で連続して静止画を撮影する」という原理で動作しています。
例えば1,000fpsで撮影をする場合、1秒間に1,000枚の画像を記録します。
これを通常の動画と同じ30fpsで再生することで、約33倍のスローモーション動画として見ることができます。
つまり、ハイスピードカメラは高速で連続撮影した画像を記録し、
それを動画として再生することで、人の目では捉えられない一瞬の動きを可視化しているのです。
通常のカメラも連続した画像を動画として記録するという点は同じですが、ハイスピードカメラはその撮影枚数(fps)を大幅に高めることで、通常では見えない高速現象をスローモーションで観察できるようにしています。
■ ハイスピードカメラ選定の重要ポイント
ハイスピードカメラはfpsが高ければ高いほどいいというものではありません。
撮影したい対象や用途に合わせて、フレームレートやシャッタースピード、解像度などを
総合的に検討することが重要です。
フレームレート(fps)
フレームレート(fps)は、1秒間に何枚の画像を撮影できるかを表す値です。
撮影対象の動きが速いほど、より高いフレームレートが必要になります。
一方で、必要以上に高いフレームレートを設定すると、解像度が制限され、
見たいものが見えなくなってしまうこともあります。
そのため、「どの程度の速度の現象を撮影したいのか」を基準に、
必要なfpsを選定することが重要です。
シャッタースピード
高速で動く対象を鮮明に撮影するためにはfpsだけではなく、
シャッタースピードも重要です。
シャッタースピードが遅いと、いくらfpsが高くても被写体がブレてしまい
細かな動きを確認することはできません。
一方でシャッタースピードが速くなると取り込む光の量が少なくなるため
十分な照明が必要になります。
松電舎ではハイスピード撮影に適した高輝度照明もご用意しています。
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解像度
解像度は、撮影した画像の細かさを表します。
部品の微細な変形や亀裂、液滴の挙動などの細かな現象を確認する場合は
高い解像度が必要になります。
多くのハイスピードカメラは、フレームレートを高く設定すると撮影できる解像度が低下します。
そのため「速度」と「画質」のバランスを考慮して選択することが大切になります。
カラー・モノクロ
撮影する対象によっては、カラー撮影よりもモノクロ撮影が適している場合があります。
カラーカメラは対象物の色の違いを確認できるため、一般的な撮影や記録用途に適しています。
一方モノクロカメラはカラーカメラよりも光を効率的に取り込むことができるため、感度が高く、
高速度撮影でも鮮明な画像を得やすいという特長があります。
画像解析や研究開発用途では、モノクロカメラが採用されるケースは少なくありません。
記録時間
ハイスピードカメラは膨大な量のデータを記録するため、ファイル容量が大きくなりやすく
連続して撮影できる時間は短くなる傾向があります。
一瞬の現象の記録用途であれば問題ありませんが、長時間の記録が必要になる場面では、
記録時間やメモリ容量も重要な選定ポイントになります。
メモリについては一般的なハイスピードカメラはメモリが内蔵されているものが多いですが、
松電舎のハイスピードカメラは内蔵メモリを使用するカメラ以外にも、PCのメモリを取込領域として使用する物をラインナップしています。
そのためPCのメモリ容量を拡張することで、一般的なハイスピードカメラよりも長時間の録画が可能となっています。
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トリガー機能
ハイスピードカメラの多くは、トリガー入力を利用して撮影タイミングの前後数秒間を記録できます。
問題が起こった瞬間のみを保存できるため、製造現場や実験での原因解析を行う際に有効です。
■ ハイスピードカメラの活用事例
ハイスピードカメラは、人の目では捉えられない高速現象を可視化できることから、
製造業をはじめ、研究開発やスポーツなどさまざまな分野で活用されています。
製造業・品質管理
製造現場では、不良品の発生原因を特定するためにハイスピードカメラが活用されています。
例えば、部品の搬送や組立工程、プレス加工、包装機械などの高速動作を撮影することで、タイミングのずれや部品の振動、異常動作を可視化できます。通常速度では確認できない現象を詳細に解析できるため、品質向上や生産性改善に役立ちます。
研究・開発
研究機関や企業の開発部門では、新製品や新技術の評価・解析に利用されています。
材料の破壊試験や液体の飛散、燃焼現象、衝突実験など、一瞬で発生する現象を詳細に記録することで、製品性能の評価や新たな知見の取得につながります。
自動車
自動車業界では、衝突試験(クラッシュテスト)やエアバッグの展開解析、安全部品の動作確認などに利用されています。
ミリ秒単位で変化する現象を記録することで、安全性の評価や製品開発に欠かせないデータを取得できます。
スポーツ解析
スポーツ分野では選手のフォームやボールの動きを分析する目的で使用されています。
ゴルフスイングや野球の投球、テニスのサーブなどをスローモーションで確認することで、フォーム改善やパフォーマンス向上に活用されています。
■ まとめ
ハイスピードカメラとは、通常のカメラでは捉えられない一瞬の現象を可視化できる撮影機器です。
しかし、「fpsが高いものを選べばよい」というわけではありません。
撮影対象によって必要な
- ● フレームレート
- ● シャッタースピード
- ● 解像度
- ● 記録時間
などは大きく異なります。
目的に合ったハイスピードカメラを選ぶことで、より正確な現象解析や品質改善、研究開発に役立てることができます。
用途に最適なハイスピードカメラ選びでお困りの方は、お気軽にお問合せください。