フォーカス合成機能の注意点とコツ
■はじめに
デジタルマイクロスコープで高倍率観察をしていると、
「ここにはピントが合っているけれど、少し奥にずれるともうボケてしまう……」
そんな経験はないでしょうか?
高倍率で観察すると、被写界深度(Depth of Field、DOF)が浅くなり、
ごく限られた範囲しかピントが合いません。
このような問題を解決するため、一部のマイクロスコープには
「フォーカス合成」機能が搭載されています。
ピントを合わせたい範囲を少しずつ移動させながら画像を取得することで、
全体にピントが合った合成画像を生成できます。
非常に便利な機能ですが、きれいな合成画像を得るためには、
いくつかの注意点とコツを押さえる必要があります。
■注意点とコツ
✅ コツ①:ゆっくりピントを送る
ピント移動中に並行して画像処理が行われるため、急激な高さ移動では処理が追いつかず、
合成が失敗することがあります。
ピントを合わせたい範囲を、できるだけゆっくりと一定の速度で移動してください。
✅ コツ②:ワーク面とレンズを平行にする
斜め方向から観察しながらピントを上下させると、
観察位置がずれてしまい、正しい合成ができません。
フォーカス合成は、基本的にレンズとワーク面が平行な状態で使用することが前提です。
詳しくは マイクロスコープでの斜め観察時の注意点をご覧ください。
☆それでもうまくいかないときは、、、
マイクロスコープ標準付属品から機材の変更する必要があります。
✅ コツ③:照明位置を固定する
リング照明がレンズに固定されていると、高さの変化によって光の当たり方が変わり、
合成画像にムラや影が出ることがあります。
照明をレンズから独立させることで、光の方向を一定に保ち、安定した合成画像が得られます。
✅ コツ④:テレセントリックレンズを使用する
マクロレンズを使用すると、対象物を真上から観察していても、
画面の中央と端で視差が生じ、画像に歪みが出ることがあります。
テレセントリックレンズを使うことで、視差を抑えた正確な合成画像が得られます。
■フォーカス合成に向いていない対象物
- 透明な対象物
ピントが合っていても、コントラストの差が小さいため、画像合成がうまく機能しない場合があります。透明体やガラス素材、薄膜などは合成に不向きです。
■まとめ
フォーカス合成は、全体にピントが合った高精度な画像を得るために非常に有効な機能です。
本記事で紹介した注意点やコツを参考に、ぜひ実際の観察にお役立てください。