2022年06月30日

顕微鏡に顕微鏡カメラを使用した場合の見え方について

目次

 

 

 

 

●顕微鏡にカメラを取付けての観察

顕微鏡は人間の裸眼で接眼レンズを覗いて使用する機器です。
小さなモノを大きく拡大してヒトが見ることが前提です。
その顕微鏡を覗いた画像をカメラで撮影して保存したり、映像を他のヒトと共有したい場合にはカメラを使います。
弊社の顕微鏡には双眼タイプと三眼タイプがあります。

 

双眼タイプ 三眼タイプ

 

双眼タイプは眼で覗く接眼レンズが2眼
三眼タイプは眼で覗く接眼レンズが2眼 + カメラ接続ポートが1眼で 合計3眼
となります。

 

弊社の顕微鏡カメラは双眼でも三眼タイプでも、どちらでも取付けて撮影することができます。
双眼タイプの場合は接眼レンズを抜いて、顕微鏡カメラに付け替える手間があるため
カメラを取付けることが前提であれば三眼タイプの方がオススメです。
三眼タイプならばカメラを三眼部に取付けたままで双眼の接眼レンズで観察できます。

 

双眼部への取付例 三眼部への取付例

 

 

 

 

●顕微鏡にカメラを取付けた場合に起きる問題とは

上述したように顕微鏡は元々、小さなモノを大きく拡大して裸眼で覗いて観察します。
これが大前提の主目的です。
カメラを顕微鏡に取付けて撮影することは2番目の目的であり、なかば無理やり、強引なやり方です。
そのため、下記のような問題が起こります。

 

 

  ~問題~
 顕微鏡を覗いて観察した時には、視界全面がクリアにピントが合っているのも関わらず、
 カメラを取り付けて、モニター上で見ると、ピントが甘い。 

 

 

 

 

 

●カメラで撮影した顕微鏡画像のピントが甘い。その理由とは

顕微鏡は、その構造上、カメラを使用すると全面にピントが合わせづらい2つの特性がございます。

 

・特性1

 

上述したように、顕微鏡の主目的は小さなモノを大きく拡大して裸眼で覗いて観察することにあります。
カメラ撮影は2番手の目的で強引なやり方です。
したがって、実体顕微鏡はその構造上、対物レンズをわざと斜めに配置しています。

 

実体顕微鏡の対物レンズ配置

 

このように実体顕微鏡の対物レンズは若干内側を向いています。
これは両眼で覗いた時に立体感を出す為にわざと、こういう構造になっています。
このことがカメラを使った時にレンズをカメラに斜めに取り付けているのと同じことになります。
またカメラを使って、その映像をモニタ上で見るという状況は、両眼で覗いた見え方では無く、
片眼で見た見え方となります。
その為、カメラを顕微鏡の外見上、真上に真っすぐに取付けたとしても、
カメラを斜めに傾けて撮影しているのと同じ状況となります。
斜めから撮影している為、被写界深度の問題もあり映像全体にピントが合わせづらいという事が発生します。

 

 

特性2

 

産業用カメラは素子サイズが1/2インチと少し小さい素子を使用したカメラが多く、
顕微鏡を目で覗いた見え方と近い倍率映像を撮影しようとすると、
カメラアダプタレンズに0.45倍や0.37倍と言った倍率を下げるレンズを使用する必要があります。
この倍率を下げるレンズはレンズ歪みが発生しやすく、カメラ映像全面にピントが合わせづらいです。

 

 

   ※最近では産業用カメラの高解像度が出てきており、1インチ素子等が使用されております。
    その場合は等倍(1倍)のレンズが使用出来るので、歪みの影響も少なくなります。
    詳細はお問合せ下さい。

 

実際に撮影してみました。
下記写真は実際に顕微鏡にカメラと0.45倍のレンズを使用して10円玉を撮影しております。

 

10円玉を撮影
左側はピントが合っているが、右側はピントが甘い。

 

この様に顕微鏡にカメラを取付けて撮影すると画面全体にピントが合っておらず
裸眼で顕微鏡観察した時は全面がピントが合って綺麗に見えている為、違和感を感じるかと思います。
ただ、やはり顕微鏡にカメラを使用すると上述した通り、全面にピントを合わせることは難しいです。

 

 

 

 

●顕微鏡画像のピントの合わせ方

ただカメラの映像を見ながらピントを映像の中心に合わせる事で、ピントの合っていない部分を左右に分割できる為
比較的観察しやすい映像に調整する事が可能です。

 

顕微鏡画像のピントの合わせ方
画面中央にピントを合わせ、左右が均一にピントが甘い状態

 

映像の真ん中にピントが合っており、両サイドが少しピントが合っていないというイメージです。
この様にピント位置を画面中央に合わせるよう調整頂ければ、顕微鏡画像を比較的綺麗に撮影できます。

 

 

 

 

●接眼部とカメラの焦点を一致させる方法(Cマウント)

・接眼部とモニタとで焦点が一致しないことが多い!?

顕微鏡の映像を撮影する場合、「裸眼観察」と「カメラ映像」で焦点が完全に一致している方が好ましいです。
ですが、「光路の違い」や「製造のばらつき」等により、接眼レンズ部(裸眼観察)とカメラポート(カメラ観察)の焦点は一致しないことが多いです。

 

接眼部とモニタの焦点を一致01

 

①接眼部から観察した場合

②モニタで観察した場合

 

上記両方の焦点が一致しないことが多い

 

それぞれ個別であれば、顕微鏡の上下調整で

焦点調整できます。

  接眼部とモニタの焦点を一致02

 

 

・一致させるポイントは顕微鏡側のCマウント

顕微鏡側のCマウント鏡筒は各メーカ-で色々な種類がありますが、

Cマウントであれば、どれを選んでも焦点調整には影響しません。

接眼部とモニタの焦点を一致03

 

但し、選び方によって視野が変わります。

 

Cマウント側の倍率で下記のように視野が変わります。

  • ・倍率が高い→視野が狭くなる
  • ・倍率が低い→視野が広くなる

 

▼顕微鏡本体は何も変えず、Cマウントの倍率だけ変えた時の例

接眼部とモニタの焦点を一致04

 

 

・焦点を一致させることができるCマウント

Cマウントで裸眼観察とカメラの焦点位置をどうしても一致させたい場合は、Cマウント側に微調整のついているものを選びます。

例えば、オリンパス様であれば、「Focus LOCK」の付属しているものになります。

 

接眼部とモニタの焦点を一致05

 

 

また、メーカーの純正品ではありませんが、下記のようなものも販売されています。

 

接眼部とモニタの焦点を一致06

接眼部とモニタの焦点を一致07

(参考:https://www.microscope-net.com/products/c-adapt/ultra-c-mount/

 

 

 

 

●まとめ

・顕微鏡にカメラを取付けた場合にピントは全面に合わせにくい。
・画面中央にピントを合わせるように調整すると比較的綺麗な画像が得られる。

・接眼部とモニタの焦点を一致させたい場合は、微調整可能なCマウントを使用する。

 

 

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